【書評】『ルポ低賃金』低賃金と劣悪な労働環境の現実:自己責任で済まされるのか?

書評
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ゆま

生きづらさを抱える女
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ルポ 低賃金 [ 東海林 智 ]

「ルポ 低賃金」という本は、風俗で働かざるを得ない女性たちの切羽詰まった状況や、シングルマザーの実態、悪い労働条件を受け入れざるを得ない人たちの現状を取材した本です。

誤解と偏見

この本を読むまでは、風俗で働く女性に対して「風俗じゃなくても仕事は探せばあるのに」と思ったり、「シングルマザーって自己責任じゃないの?自分が悪いんじゃない?」などと思っていました。低賃金の人や職に困っている人に対しても、どこかその人本人のせいだと思っている節がありました。

しかし、この本を読んで現実を初めて知り、申し訳ない気持ちになりました。何も知らずに悪いのは本人だと思っていた自分が浅はかだったと初めてわかりました。

生まれた環境と国のシステムに苦しめられる人

家庭環境に恵まれなかった人

親に性的虐待を受け、家に居場所がなく逃げ出すことしかできなかった女性や、結婚した相手が豹変し暴力を振るうようになった人。お金に困っても頼れる親や家族がいない人。
世の中の一般家庭とはまったく違う家庭環境の人たちがたくさんいるということを知りました。

国のシステムの問題

お金や支援してくれる人が誰もいなかったり、一度住む場所を失ってしまうと住民票がないから働けない、保証人がいないから家も借りられないなど、仕事に就くことに対してこの国のシステムが足かせになっている場合があります。

ブラック企業の現状

日本の70%はブラック企業とされています。職に困っている人がたくさんいるため、劣悪な労働を押し付けられて低賃金でも辞めるわけにいかない。そんな状況をいいことに労働者をいいように利用しています。

非正規労働者の現状

非正規社員や派遣、アルバイトやパートは短期契約で、労働者に不利で企業側に有利な労働環境ばかりです。非正規労働者は都合のいいように利用され、都合が悪くなったら簡単に切り捨てられます。このような労働環境を容認している国のあり方では、国民の幸せなんてあるわけがありません。

貧困ビジネスの実態

身近に頼れる人もいないし、国も支援してくれない。自分でなんとかするしかない。そんな困窮した人を「救済しますよ」という形で近寄ってきて、貧困者から搾取する貧困ビジネスが氾濫している実態です。

自己責任論の問題

これらの劣悪な労働環境にある人に対して、「自己責任」という言葉だけで片付けられます。優良な企業に入れないのはあなたの努力不足だと。自己責任で片付ければ国は楽だから、国のせいじゃないと決めつけて改善などしたくないのです。

資本主義の問題点

資本主義という国は「お金をたくさん持っている人が偉い」という価値観です。お金がたくさん稼げる人=優良な人とされ、それによって日々より良い商品やサービスを生み出しているのは確かです。しかし、上を目指して発展に貢献できる人は限られています。世の中の全員が優秀ではなく、生まれつきの能力の差があります。努力しても平均以下の能力しかない人は資本主義においてはただのゴミ、不要な人間として扱われるか、搾取され都合のいいように使われるかしかありません。

障害者の現状

生まれつき障害を持っている人であっても、その枠の中で働くことを強要されます。しかも障害者枠だから低賃金が当たり前。普通の人より働けないんだから給料が低くて当たり前だと思われます。

賃金と能力の関係

能力のレベルが賃金に反映され、それによって努力して結果が出せる人もいるかもしれません。しかし、どんなに努力しても生まれつきの能力で結果が出せない人もいます。そういう人を簡単に切り捨ててゴミ扱いする、資本主義はそういう格差社会を生んでいます。

格差社会の現実

カースト制度のように生まれつき階級を決められているわけではありませんが、ある意味生まれつきの能力によって階級が決まっているのと同じです。資本主義は能力の高い人にとって都合がいいため、今後も格差は続き、上流階級と下層階級の差もなくならないと思います。

法律と上流階級

法律を作るのは上流階級の人であり、下流がいるから自分が上流でいられるのです。その差をなくすための対策など取りたがらないでしょう。困窮者がいても「努力が足りない」と偏見と決めつけだけで見ることしかできません。

共感と理解

「普通にただ生きるだけがこんなに苦しいとは」。このルポに登場する人が言った言葉には共感しかありません。普通にただ生きることがとてつもなく難しく厳しい。問題は大きいが改善される余地もない。ただ現実を理解し、見つめることしかできないのです。

ルポ 低賃金 [ 東海林 智 ]
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