『隷属なき道』という本に書かれていた「欠乏感の心理」という部分について考えるものがありました。
ベーシックインカムやフリーマネーを推奨する哲学書
一言でこの本を表すと「ベーシックインカムが今後の世界を良くする」ということが書かれている哲学書です。
ちなみにベーシックインカムとは、立場や所得関係なくどんな人にも”最低限の所得を保障する制度”のことで最低生活保障などとも呼ばれています。
ベーシックインカムの必要性
『貧しい人はなぜ愚かな判断をするのか』
貧しい人はなぜ、犯罪を犯しやすいのか?はぜ彼らは肥満になりやすいのか?なぜ彼らの方が酒や薬物に溺れやすいのか?一言で言えば、貧しい人はなぜ愚かな判断をするのか?
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
統計データを見ていただきたい。貧しい人は借金が多く、貯金が少なく、喫煙量が多く、運動量が少なく、飲酒量が多く、食事内容は不健康だ。
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
欠乏の心理状態
欠乏は心に影響する。何かが足りないことに気づくと、人はこれまでとは異なる振る舞いをするようになるのだ。
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
何が足りないかは大して重要ではない。足りないのが時間であれ、金銭であれ、友情であれ、食べ物であれ ー そのすべてが「欠乏の心理」をもたらす。そしてその心理にはメリットもある。欠乏感を抱いている人間は、短期的な問題を処理するのがうまいのだ。貧しい人々は短期的には収入の範囲内でやりくりするのがきわめて上手だ。
欠乏感は長期的な視野を奪う
そうだとしても「欠乏の心理」がもたらす悪影響はそのメリットをしのぐ。欠乏はあなたの気持ちを差し迫った不足に集中させる。5分後に始まる打ち合わせとか、翌日に迫った支払いとか。そうなると長期的な視野は完全に失われる。「欠乏は人間を消耗させる」とシャファーは言う。「他にも等しく重要なことがあるのに、そちらに気持ちを向けられなくなるのだ」
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
彼らが愚かな判断をするのは愚かだからではない。愚かな判断に追い込まれる環境で暮らしているからなのだ。
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
今夜食べるものがない。どうしよう?とか、今週末までどうやってやりくりしよう?といった悩みは大きなバウンドウィズ(データ処理能力)を必要とする。
(中略)
「自分をコントロールするのがとても難しく思える。気が散り、すぐ不安になる。これが毎日起きるのだ」こうして、時間や金銭の欠乏は、人に分別のない判断をさせる。
貧しさと認知能力の実験
具体的に貧困はどのくらい人を愚かにするのだろう。
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
「その影響は、IQが13〜14ポイント下がるのに相当した」
インドのサトウキビ農家は収穫後に収入を多く得て裕福になるが、別の時期には貧しくなる。裕福な時期と貧しい時期に認識力テストを行ったところ貧しい時期のほうが点数が下がった。
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
貧困をなくさない限り、彼らが正しい判断をすることは困難
この本では、貧しい人が愚かな判断や行動しかできないのは欠乏感による脳の処理能力の低下によるものであり、それを解決するためにベーシックインカムにするべきだという提案がされています。
そして実際にホームレスにお金や住む場所を提供をしている地域があり、そのデータから貧困状態を解消した人は生産的な判断をするようになり、経済効果が上がった例などを紹介しています。
貧困を解消することは、世界全体の経済効果や世界全体の幸福に繋がるということを研究やデータから推奨しています。
ベーシックインカムは実現するのか
実際今の日本ではベーシックインカムが実現するような様子は今のところないですよね。
この本でベーシックインカムの良いところを知っても意味がないじゃないか…と残念な気持ちになるのも嘘ではないです。
今現在私は貧困ではないけど、数年前には病気で仕事ができなくなり無収入になったことがあります。
それからなんとか立ち直ることはできましたが、今後いつまた同じように病気になるかわかりませんし、世の中がどんな状況になるかは誰にもわかりません。
最近はコロナで失業している人がたくさんいて貧困は他人事ではありません。
どんな人であってもいつ貧困になるかわからない不安定な状況で生活していて、この状況だけでも欠乏感を抱いているわけです。
できれば今すぐにでもベーシックインカムを実現してほしいと思っちゃいますよね。
コメント